「うつは甘えだよ」「みんなつらいんだから、頑張らないと」
そんな言葉をかけられて、傷ついた経験はありませんか。
毎日を過ごすことや仕事に行くこと、人と関わることに精いっぱいなのに、自分のつらさを甘えだと決めつけられると、苦しさそのものを否定されたように感じてしまうことがあります。
とくに、周囲から見れば普通に生活できているように見える場合は、自分でも本当に甘えているだけなのではないかと迷ってしまうかもしれません。
以前はできていたことができなくなったり、働くことへの不安が強くなったりすると、周りと比べて自分だけが取り残されているように感じることもあるでしょう。
けれど、誰かからかけられた言葉だけで、あなたの状態や価値が決まるわけではありません。
この記事では、「うつは甘え」と言われたときに、その言葉をそのまま自分自身への評価にしないための考え方や、傷ついた心との向き合い方についてお話しします。
うつは甘えと言われたとき、まず知ってほしいこと

「甘え」という言葉だけで、あなたの状態は決まらない
誰かから甘えていると言われると、その言葉が頭から離れなくなり、自分のほうが間違っているのではないかと思ってしまうことがあります。
とくに、これまで周囲の期待に応えようと努力してきた人ほど、できない自分を責める方向に気持ちが向きやすいでしょう。
しかし、「甘え」という言葉は、その人があなたの状態を見て下した評価にすぎません。
その一言から、あなたが実際にどれほどつらい思いをしているのかまで判断できるわけではないのです。
心の不調は、けがや発熱のように外から分かりやすく見えるとは限りません。
仕事に行けている、人と話せている、笑っているといった姿だけでは、その人が内側でどれだけ消耗しているのかまでは分からないものです。
周囲からは問題なく見えていても、本人にとっては一日を過ごすだけで精いっぱいということもあります。
だからこそ、他人から見た印象だけを基準にして、自分のつらさを小さく扱う必要はありません。
頑張れないのではなく、頑張れる状態ではないこともある
心身の調子が落ちているときは、以前なら簡単にできていたことにも時間がかかる場合があります。
集中することが難しくなったり、判断することに疲れたり、人と話すこと自体が大きな負担になったりすることもあります。
それは、本人が努力を放棄しているからとは限りません。
頑張ろうと思っているのに、思うように力を出せない状態になることもあります。
たとえば、仕事には何とか行けたとしても、帰宅した途端に何もできなくなる人もいるでしょう。
人前では普段どおりに振る舞えていても、一人になると強い疲労を感じることもあります。
今日仕事に行けたという事実と、仕事に行くことがとてもつらかったという事実は、両立します。
「できているのだから大丈夫」と判断するのではなく、そこに至るまでにどれほどの負担があったのかにも目を向けることが大切です。
相手の言葉を、自分自身への評価に変えなくていい
「うつは甘えだ」と言われて苦しくなるのは、言葉そのものだけが理由ではありません。
その言葉を繰り返し聞くうちに、自分でも自分を同じように評価するようになってしまうことがあります。
本当は休む必要があるのに、もっと頑張らなければと思って無理を重ねたり、助けを求めることをためらったりするのは、その一例です。
そんなときに意識したいのが、相手の意見と、自分についての事実を分けて考えることです。
相手があなたを甘えていると感じたことは、その人にとっての意見です。
一方で、あなたがどのような状態にあり、何に困り、どれほどの負担を感じているのかは、別の問題です。
すぐに気持ちを切り替える必要はありません。
ただ、心ない言葉を受けたときには、それを自分自身の評価としてそのまま受け取らないように、少し距離を置いて考えてみてください。
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自分を責めたくなったときは、原因を別の角度から考えてみる
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つらい状態が続くと、どうしても自分に原因を求めたくなるものです。
仕事がうまくいかない、人間関係が続かない、学校に行けない、外に出られない。
そうした状況を、自分の性格や努力不足だけで説明しようとしてしまうことがあります。
しかし、生きづらさが生まれる背景には、本人の性格だけでなく、環境や人間関係、仕事の負担、生活リズム、周囲から求められている役割など、さまざまな要素が関係しています。
「自分が弱いから」と決める前に、今の負担を見てみる
自分を責めたくなったときは、なぜ自分はこんなにできないのだろうと考える代わりに、今の自分は何に疲れているのだろうと考えてみると、少し見え方が変わることがあります。
たとえば、職場で人間関係の緊張が続いている、仕事量が自分の許容量を超えている、睡眠が十分に取れていない、人と関わることに強い疲れを感じているなど、負担になっているものを具体的に考えてみるのです。
精神障害や発達障害、身体障害がある人の場合も、周囲には分かりにくい困難を抱えていることがあります。
不登校やひきこもり傾向がある人、働くことそのものに強い不安を感じている人にも、それぞれに事情があります。
「できない」という結果だけを見て自分を責めるのではなく、なぜ今それが難しくなっているのかを考えることは、自分の状態を理解するための大切な一歩になります。
すべての人に理解してもらおうとしなくていい
自分のつらさを理解してもらいたいと思うのは自然なことです。
何が苦しいのか、なぜ今はできないのかを丁寧に説明すれば、相手にも分かってもらえるのではないかと考えることもあるでしょう。
けれど、どれだけ説明しても、相手の価値観まで変えられるとは限りません。
「みんな大変なんだから頑張ればいい」「自分だってつらいけれど働いている」といった考えを持っている人に、何度説明しても理解されない場合もあります。
それは、あなたの説明が足りないからとは限りません。
理解されないことと、あなたが間違っていることは別
何度話しても否定されると、自分のほうに問題があるのではないかと思ってしまうかもしれません。
しかし、相手に理解されなかったことと、あなたの感じているつらさが間違っていることは同じではありません。
誰にでも分かってもらおうとすると、それだけで大きなエネルギーを使います。
心身に余裕がないときに、自分の状態を一から説明し続けることは、それ自体が負担になってしまうでしょう。
理解してくれる人に話すことは大切ですが、理解するつもりのない相手を納得させることまで、自分の役割にしなくてもいいのです。
心ない言葉を繰り返す人とは、できる範囲で距離を取る
家族や職場など、簡単には離れられない関係もあります。
その場合、完全に関係を断つ必要はありません。
必要なことだけ話す、つらい話題を避ける、会話する時間を短くする、心ない言葉を受けたらその場を離れるなど、自分にできる範囲で接し方を調整してみましょう。
距離を取ることは、相手を嫌いになることとは違います。
自分の心がこれ以上消耗しないように、関わり方を変えるという選択肢もあります。
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休むことへの罪悪感を抱えたときに考えたいこと

休む必要があると分かっていても、実際にはなかなか休めない人もいます。
周囲が働いていると、自分だけ止まっているように感じることがありますし、休んでいる間に周りから遅れてしまうのではないか、このまま何もできなくなるのではないかと不安になることもあるでしょう。
とくに、これまで真面目に努力してきた人ほど、休むことを悪いことのように感じやすいものです。
休むことは、何もしないことではない
心身の状態が落ちているときに無理を続ければ、さらに負担が大きくなることがあります。
そのため、今できることを増やすよりも、まず状態を悪化させないことを優先したほうがよい時期もあります。
何もできなかったと思う一日でも、食事をした、眠った、必要な連絡をした、布団から出たなど、何かをしているかもしれません。
今の自分にとって、それが精いっぱいだったのであれば、その日の過ごし方を周囲の基準だけで評価する必要はないでしょう。
回復を急ぐより、今の状態に合ったペースを探す
早く以前の状態に戻らなければと焦ると、できないことばかりに目が向いてしまいます。
仕事に戻ることや、以前と同じ生活を取り戻すことを急ぐあまり、今の自分にかかっている負担を見落としてしまうこともあります。
心身の状態や回復のペースは、人によって異なります。
今はどこまでできるかを競うより、何を減らせば少し負担が軽くなるのか、どのような環境なら過ごしやすいのかを考えてみてもいいでしょう。
立ち止まる時間も、これからの生活や働き方を考えるための時間になり得ます。
また「甘え」と言われたとき、自分を守るためにできること

一度傷つく言葉をかけられると、次に同じようなことを言われたときのために身構えてしまうことがあります。
けれど、その場で完璧に言い返す必要はありません。
自分の状態を詳しく説明することが難しいなら、短い言葉で今の状況を伝えるだけでも十分です。
たとえば、今は無理をしないようにしている、体調を見ながらできることに取り組んでいる、といった伝え方があります。
それでも否定されるのであれば、同じ説明を何度も繰り返す必要はありません。
話すこと自体が負担なら、その場を離れたり、後で返事をしたり、別の人に対応を任せたりする方法もあります。
大切なのは、相手を言い負かすことではなく、自分への負担をこれ以上増やさないことです。
「自分は甘えているのかも」と思ったら、状態に目を向けてみる
周囲から何度も否定されていると、この記事を読んでも、自分は本当に甘えているだけなのではないかと思うかもしれません。
そんなときこそ、甘えかどうかを判断する前に、自分の状態を振り返ってみてください。
以前より疲れやすくなっていないか、眠れない日が続いていないか、反対に眠りすぎていないか、好きだったことに興味を持てなくなっていないか。
仕事や学校、人との関わりを考えるだけで強い負担を感じていないか。
頑張ろうと思っているのに、どうしても体や心がついてこない状態が続いているなら、単純に努力不足と決めつけないほうがいいでしょう。
つらさが長く続いていたり、仕事や学校、食事、睡眠など日常生活に大きな影響が出ていたりする場合には、信頼できる人や医療機関などに相談することも選択肢の一つです。
自分だけで答えを出そうとせず、今の状態を一緒に整理してくれる人に頼っても構いません。
できなかったことだけで、自分を評価しない
苦しい時期には、できなかったことが目につきやすくなります。
仕事に行けなかった、家事ができなかった、人に会えなかった、連絡を返せなかった。
その一つひとつを数えていると、自分には何もできないように感じてしまうことがあります。
けれど、その一日の中にも、できたことはきっとあります。
食事をとった、少し眠れた、誰かと話した、外の空気を吸った、必要な用事を一つ済ませた。
そして、つらい中でこの記事をここまで読んだことも、その一つです。
大きな成果だけが価値を持つわけではありません。
一日単位で見ると何も変わっていないように感じても、少し長い目で見ると、以前より眠れるようになったり、自分の気持ちを言葉にできるようになったり、無理をしていることに気づけるようになったりすることがあります。
調子の悪い一日だけを切り取って、自分のこれからまで決めてしまわなくて大丈夫です。

頑張ってきたね!
ここあらさんのひとこと
「休むことも
立派な前進だよ~」

「うつは甘え」と言われて傷ついたのは、あなたが弱いからではありません。
自分のつらさを理解してほしいと思うことも、今は頑張れないと感じることも、それだけで甘えになるわけではありません。
働きたいと思っているのに働くことが難しい時期や、人と関わりたい気持ちはあるのに外へ出ることができない時期もあります。
精神障害や発達障害、身体障害がある人も、生きづらさを抱えている人も、不登校やひきこもり傾向にある人も、それぞれ異なる事情を抱えています。働くことへの不安が強く、これからどうすればいいのか分からなくなっている人もいるでしょう。
外から見ただけでは分からない困難があるからこそ、誰かの一言だけで自分の状態を決めつけなくていいのです。
今すぐ前向きになる必要も、以前の自分に戻ろうと焦る必要もありません。
まずは、自分がどんなことで苦しくなっているのかを知り、必要なら負担を減らしながら、これからの過ごし方や働き方を考えていけばいいのです。
周囲と同じ速さで進めない時期があっても、それだけで人生が止まったわけではありません。
休むこと、立ち止まること、誰かの力を借りることも、これから自分らしく生きていくための選択肢です。
誰かに甘えだと言われたからといって、自分まで自分を責め続けなくていい。
今まで頑張ってきた自分のことを少しずつ理解しながら、これからは自分に合ったペースを探していきましょう。
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