約100人に1人の割合でいるとされるアスペルガー症候群。
特に男性は女性の約4倍の患者数といわれています。
多くの場合アスペルガー症候群の方はコミュニケーションを苦手としており、大人になるにつれ人間関係の複雑さが増して、社会的にも求められるスキルが高くなるため、より生きづらさを感じてしまう傾向にあるのです。
今回はアスペルガー症候群の方がどのような特徴を持つのか、向いている仕事は何なのか、またアスペルガー症候群の方にどのように接すればいいのかをお伝えします。
アスペルガー症候群とは?
アスペルガー症候群という言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
現在アスペルガー症候群はASD(自閉症スペクトラム障害)と呼び名を変えており、知的障害を伴わない自閉症、神経発達障害の一種と位置付けられています。
アスペルガー症候群の方は多くの場合コミュニケーションを苦手とし、強いこだわりを持つなどの特徴があるため、本人や周囲がその障害特性を理解していないと様々なトラブルを引き起こしてしまうのです。
参照:厚生労働省HP「発達障害の理解のために」
https://www.mhlw.go.jp/seisaku/17.html
参照:国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター
https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/disease06.html
アスペルガー症候群の特徴
アスペルガー症候群の特徴として以下のような「3つの障害」が表れます。
1.社会性の障害
3.想像力の障害
「社会性の障害」とは周囲の人と適切に関わることが難しく、その場の空気を読んで対応することや、暗黙の了解といった明文化されていないルールを理解するのが困難な障害です。
そのため対人関係の構築や維持が難しいとされています。
例えば悪気なく思ったことを口にしてしまい「なぜ相手が怒ったのか分からない」ということもあるのです。
「言語コミュニケーションの障害」として独特な言い回しをするなどがあります。
また言葉の行間を読むといったことが苦手で、ユーモアや皮肉を真に受けてしまうのです。
「想像力の障害」では決まった手順やスケジュールの変更など、自分が予想していた以外の出来事に臨機応変に対応できないといった特徴があります。
アスペルガー症候群の方に向いている仕事は?
知的障害を伴わず、自分の興味のあることには高い集中力をみせるアスペルガー症候群。
そのため仕事をするうえで起こりやすいトラブルを回避できれば、より自分らしく働けるでしょう。
会社にアスペルガー症候群の特性を理解してもらったり、障害特性に理解のある職場へ転職したりすることは無理をせず就労するうえで重要なポイントになります。
アスペルガー症候群の方が仕事で直面するトラブル
アスペルガー症候群の方は特性により、以下のような点でトラブルを起こしやすいといえます。
・人間関係の困難さ
・臨機応変な対応ができない
・こだわりにより効率よくタスクをこなすことが難しい
これらの解消のためには本人と会社側の特性への理解が不可欠です。
指示を与える上司も曖昧な表現を避けるなどの工夫が必要になります。
例えば「○○を夕方までに分かりやすい感じで仕上げておいて」というような曖昧な言葉ではなく「○○を17時までに昨年の資料を参考にして作ってください」というように、具体的な時間や作業を指示するといいでしょう。
また臨機応変な対応を苦手としているため、業務内容がパターン化されていないものは判断が難しくトラブルの原因になります。
こだわりの強さから仕事に見切りをつけるのが難しく、必要以上に作業時間が長くなり残業が常態化すると体調面への影響も心配です。
向いている仕事は?
1人でコツコツできる仕事やマニュアルが整っている仕事が向いているでしょう。
また日々の業務をパターン化する工夫も、アスペルガー症候群の方が働くうえで有効です。
想定外のことが起こったときに、上司や周囲の同僚に相談できる環境づくりも重要になります。
アスペルガー症候群の方が向いている仕事としては事務職や清掃、軽作業、エンジニアなどが挙げられます。
家庭や職場での対処方法や接し方
アスペルガー症候群の方は思ったことをすぐに口にしてしまう傾向にあるため、親しい人ほど傷つけてしまうことも少なくありません。
悪意からくるものではなく障害特性なのだということを理解して、お互いがストレスを溜めないコミュニケーションの方法を模索する必要があります。
家族や恋人など親しい人がアスペルガー症候群の場合
家族や恋人など親しい人がアスペルガー症候群の場合、お互いにストレスを抱えすぎないことが重要です。
発達障害を抱える家族や恋人との関係が原因でカサンドラ症候群になる方もいます。
支える側の人達のカサンドラ症候群を防ぐためにも、必要以上に大きなストレスがかからないようにすることが重要です。
(※カサンドラ症候群とは親しい人がアスペルガー症候群のため、意思疎通や適切な関係を築けないことが心的ストレスとなり、不安障害や抑うつ状態などの症状を起こすことです)
・症状や特性への理解を深める
・生活する上で必要なことを曖昧にせず明確にルール化する
・「言わなくても分かるだろう」は厳禁。些細なことでも具体的に話し合う
アスペルガー症候群の方の特性を理解して、お互いにストレスの掛からない適切なコミュニケーションを心がけましょう。
会社の同僚や部下がアスペルガー症候群の場合
もしかしたら職場の同僚や部下がアスペルガー症候群かも?と思ったら、以下のようなことに注意して接してみましょう。
・業務のマニュアル化
・曖昧な言葉を避け、できるだけ具体的に伝える
・指示・伝達の際には図や文字などの視覚表示を利用する
・業務を進めるうえで事前にいくつかパターンを想定して共有する
・感覚過敏の特徴を持つ場合は、パーテーションの設置やイヤホン使用の許可など対応を
アスペルガー症候群の方はコミュニケーションに問題を抱える方もいますが、お互いが特性を理解して配慮することで、円滑に業務を行えるでしょう。
参照:厚生労働省HP「精神・発達障害者しごとサポート養成講座」 https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/jigyounushi/e-learning/
まとめ
今回は大人のアスペルガー症候群の方の特徴や対策についてお伝えしました。
障害の特性を理解して、特性に合った対処法を取ることでお互いのストレスを減らすことが重要です。
またアスペルガー症候群の方が仕事をする上で周囲の協力と理解は欠かせません。
職場に理解を求め、それが難しいようなら転職などで職場環境を変えるのも自分らしく働くための選択肢の一つです。
私たちCOCOCARAは、就労移行支援事業所として、障害等の事情があってお仕事に就くことに苦労している方に対して、相談や就職準備、アドバイスなどのサポートを行なっています。
「障害があるから仕事が見つからない…」などのお悩みを抱えている方は、一人で悩まずに一度相談に来てみてはいかがでしょうか。
働くことの選択肢を増やすお手伝いが出来たらと思っています。
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