うつ病はおよそ15人に1人が発症する誰にとっても身近な病気です。
またうつ病は完治することの難しい病気でもあり、症状の改善のためには早期の治療が望まれます。
医療機関を受診し、適切な支援機関のサポートを受けることで、うつ病の回復と仕事への復帰は可能です。
今回はうつ病で会社を休職・退職した人が復帰するまでの流れと、就労支援についてお伝えします。
うつ病を発症したら?
うつ病は気分障害の一種で、精神的・肉体的ストレスなどが重なって、長期間に渡り日常生活に支障が出るほどの強いうつ状態が続きます。
具体的な症状としては意欲の低下や気分の落ち込みなどの精神症状に加え、食欲不振や睡眠不足、強い疲労感など肉体的にも辛いものです。
厚生労働省所管の調査によると、全体の6割の企業でうつ病などメンタルヘルスに問題を抱える社員がおり、その数は現在も増え続けています。
結果的にうつ病が原因で仕事を休職・退職して治療に専念する方も増加傾向です。
またうつ病が回復しても実際に復職や再就職となると、長期間職場から離れていたことで復帰を怖いと感じる方は少なくありません。
うつ病が発症してから復職までの流れを把握することで、安心して治療に専念できるのではないでしょうか。
参考:独立行政法人労働政策研究 研修機構「職場におけるメンタルヘルスケア対策に関する調査」
https://www.jil.go.jp/press/documents/20110623.pdf
1.「もしかしたらうつ病かも」と思ったら
うつ病は早期治療が大切です。
もし、うつ病を疑う症状が表れたらすぐに医療機関を受診しましょう。
「気の持ちようで何とかなる」「忙しいから時間ができた時に行く」と受診を後回しにすると、症状を悪化させる可能性があります。
2.「時にはゆっくり休む勇気」を持ちましょう
うつ病だと診断されたら、休職や退職を考えている方は医師に診断書を書いてもらいましょう。
退職する場合は失業保険の他にも、条件を満たせば傷病手当金が支給される可能性もあります。
仕事をしないことに不安を感じることもあるでしょうが、うつ病は短期間で治る病気ではありません。
短期間で復帰しようとするよりも、ゆっくりと休む勇気を持つべきです。
症状が出ているときは休むことが仕事だと割り切って、身体と心を休ませることに専念してください。
3.「そろそろかな?」と思ったら
症状が改善する安定期に入り復職や再就職を考えている方は、医師と相談しながら復帰の準備を始めます。
まず休職中に生活サイクルが乱れてしまった方は、起床時間や食事の時間などの基本的な生活を見直しましょう。
4.「ついに復帰!」でも無理はせずにマイペースに
最終的に復帰するかどうかの判断は、医師とよく話し合って決めましょう。
休職中の方の中には、うつ病からの復職に不安を抱く方もいるのではないでしょうか。
すぐに職場に戻る自信がないような場合は、リワーク(復職支援プログラム)などの利用が有効です。
復職する自信ができたら、医師に復職可の診断書を会社に提出します。
その際は会社の上司や人事担当者と相談の上で、無理のないペースでの復帰が大切です。
再就職を希望される方は、うつ病に詳しい支援機関で就労支援サポートを受けて就職活動するという手もあります。
主な支援機関は以下の通りです。
・就労移行支援事業所
・公共職業安定所(ハローワーク)
・地域障害者職業センター
復職が不安な方のためのリワークプログラム(復職支援プログラム)
リワークプログラム(復職支援プログラム)はうつ病の方のスムーズな復職と、うつ病の再発による再休職を防ぐためのプログラムです。
各支援機関では内容や特徴の異なるリワークプログラムが実施されているので、違いを理解してご自分にあったリワークを選択してください。
就労移行支援事業所
疾患や障害のある方が一般企業に就労支援を行う機関です。
事業所によって違いはありますが、うつ病からのリワークを行っている就労移行支援事業所もあります。
就労移行支援事業所の強みは、疾患や障害を持つ方の就労支援のノウハウが豊富なことです。
費用は前年度の世帯収入によって変わりますが、無料で利用できることもあるので、気になる方は問い合わせをしてみるといいでしょう。
医療機関
リワークを実施している医療機関もあります。
医療機関では医師や看護師による、病状の回復と安定を目指す医学的リハビリテーションが行われます。
医療リワークにかかる費用は一部自己負担ですが健康保険の適用が可能で、さらに自立支援医療制度を利用することもできます。
地域障害者職業センター
都道府県ごとに設置された地域障害者職業センターは、休職者、雇用主、医師の三者をセンターのカウンセラーが支援して復職を目指します。
雇用保険に加入している民間企業の休職者は無料で利用できますが、公務員は対象外なので注意が必要です
企業内で実施
企業内で自社の求職者に対してリワークを実施していることもあります。
実施している企業によって内容や目的は異なりますが、背景には復職させても大丈夫かを企業側が見極めるという目的があります。
うつ病から復職するのに大切なことは?
うつ病の再発率は60%と言われています。
復職するためには十分な休養と、医療機関による投薬や心理療法が鍵になります。
焦りは禁物
うつ病に焦りは禁物です。
回り道のようですが、焦らずにしっかりと休養を取ることが復職の近道です。
日常的な生活を送れるようになっても、うつ病の場合は完治という言葉を使わずに、症状が治まった状態を指す「寛解(かんかい)」という言葉を使います。
体調管理を怠らず、じっくりストレスと付き合う方法を探しましょう。
またうつ病の時は心理的な視野狭窄の状態のため、実際に復職するタイミングは自己判断せずに医師に相談して決めてください。
治療は継続しましょう
症状が回復すると通院を止めてしまうことがありますが、治療は継続することをおすすめします。
復職や再就職をした後なら、なおさらストレスを抱える可能性も増えます。
完治ではなく寛解を目指し、復職・再就職後も通院して投薬治療や心理療法などで症状を安定させることが重要です。
また薬を服用している際は自己判断で薬を中止せずに、医師に相談しながら減薬しましょう。
まとめ
今回はうつ病の発症から復職までの流れと、就労をサポートするリワークプログラムについてお伝えしました。
復職や再就職に不安を感じるのは自然なことです。
うつ病の回復を第一に、支援機関を活用して復帰の準備をしてください。
私たちCOCOCARAは、就労移行支援事業所として、疾患や障害等の事情があってお仕事に就くことに苦労している方に対して、相談や就職準備、アドバイスなどのサポートを行っています。
「スムーズに復職できるか不安……」「再就職先が見つからない……」などとお悩みを抱えている方は、一人で悩まずに一度相談に来られてみてください。
少しでも治療や就業の不安を払拭できればと思います。
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