「子供のころ授業中に先生に当てられて緊張した」、そんな思い出を持つ方は多いでしょう。しかしこのよくある体験を、大きな苦痛だと感じる人たちもいるのです。
今回は本人や周囲も障害だと気づきにくい、社交不安障害についてここあらさんと解説します。
ここあらさんってだあれ？(ココをタップ♬)
就労移行支援事業所COCOCARAのキャラクターであり、Instagramでは様々な知識を教えているよ！
社交不安障害の症状や原因は？恥ずかしがり屋との違い
対人恐怖症ともいわれる社交不安障害は、ときに個人の性格だと誤解され、当事者の感じる生きづらさが矮小化されることも少なくありません。
ところが実際は日常生活にも困難を生じる辛い障害です。
ここでは社交不安障害の特徴や、単なる恥ずかしがり屋との違いを解説します。
社交不安障害とは
社交不安障害（Social Anxiety Disorder）は、あがり症や恥ずかしがり屋といった性格的な特徴と混同されがちです。
しかし単なる性格的な特徴とは異なり、自分ではコントロールできないような強い恐怖や緊張を感じて、汗、手の震え、赤面、動悸、声の震えなど身体症状を伴うこともあります。
「人前に出ると激しく動揺する」「人が見ていると手が震えて字が書けない」「複数人の前で話すと酷くあがって動悸がする」といった、日常生活に支障が出るほどの不安が継続するのです。
社交不安障害の原因・なりやすいタイプは？
社交不安障害の原因として脳内神経伝達物質のアンバランスや、持って生まれた気質、これまでのトラウマが関係すると考えられますが、はっきりとは解明されていません。
他にも複雑化しストレスを受けやすい社会環境も、発症のリスクを上げていると考えられます。
実際に厚生労働省の調査によると、社交不安障害を含む不安障害により医療機関を受診した患者数は大幅に増加しているのです。
また社交不安障害には、なりやすい性格傾向があるといわれています。
すべての人に当てはまるわけではありませんが、次のようなタイプの人は少し注意が必要かもしれません。
完璧主義タイプ
「人に迷惑をかけたくない」「ミスは許されない」と考えがちな人。
小さな失敗を過剰に気にしてしまい、「あの発言は変だったかも」「相手にどう思われたかな」と振り返っては自分を責めてしまいます。
自己評価が低いタイプ
自分に自信がなく、「どうせ自分なんて」と思いがちな人。
他人の目を気にしすぎて話しかけられるだけでも不安になり、「うまく言葉を返せなかったらどうしよう」と考えてしまいます。
周囲に気をつかいすぎるタイプ
「相手が不快に思っていないか」「空気を壊していないか」と常に周りに意識を向けすぎてしまう人。
その結果、自分の気持ちや安心感を後回しにしてしまい、どんどん心がすり減ってしまいます。
否定されるのが怖いタイプ
過去にいじめや失敗、親からの厳しいしつけなどで「否定される経験」が強く残っている人。
「また自分の言葉を否定されるかも」「また傷つくかも」と、人との関わり自体に恐怖を感じます。
感受性が強く、刺激に敏感なタイプ（HSP傾向）
人の表情や空気の変化に敏感で、ちょっとしたことでも「嫌われたかもしれない」と感じてしまう人。
神経が細やかで優しい反面、社会的な場面で疲れやすく、緊張や不安を感じやすい傾向があります。
勿論これらにあてはまっても、社交不安障害になりやすい傾向があるだけでいたずらに心配する必要はありません。
まずは「自分はどう感じているのか？」に気づくことが第一歩になります。
色んなタイプがあるね
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社交不安障害かも？チェックリストとリアルな体験談！
不安障害の方が抱える生きづらさを、実際の体験談を通して見てみます。
自分に通じると感じた方は、簡易的なチェックリストを確認してみましょう。
30代男性の体験談
厚生労働省「こころの耳」に掲載された体験記によると、35歳の男性は学生時代から他人の視線や評価に強い不安を感じていました。
具体的には「先生に指されると緊張でドモリ気味になる」「字を書いているところを見られるだけで手の動きが止まる」「食べているところを見られるのが嫌で、給食は壁に向かって食べる」といったものです。
しかし家族や親しい友人とは話せていたため、「思春期にはあること」と考えていたそうです。
しかし大人になっても不安感は消えず、社会人になってからは会議や顧客対応で震えたり、どもったりと苦労が続きます。
年齢を重ね責任が増えるにつれ、わずかな視線にも耐えられないほど症状が重くなりました。
会社だけでなく自宅でも症状が強くなり、宅配業者の視線にさえ恐怖を感じるようになった男性はようやく心療内科を受診します。
診断が下りたことで会社にも病名を伝えサポート体制を整え、薬物療法や精神療法をスタートさせたのです。
治療の甲斐あって友人の結婚式に出席できるまでに症状が回復し、仕事にも復帰した男性は、最後に「もう治らない」「性格だから仕方がない」とあきらめる前に専門家の門を叩くことが大事と語っています。
参考文献：厚生労働省「こころの耳」
簡易チェックリスト
社交不安障害の傾向を自覚するための簡易チェックリストです。
あくまでも自己評価用のチェックリストであり、正式診断ではありません。
1．人前で話すと強い不安や緊張を感じる
2．他人から注目されると、汗・震え・赤面など身体症状が出る
3．視線や評価がいつも気になってしまう
4．会議や発表などで発言を避けることが多い
5．知らない人と話すのがつらい
6．言動を他人に変に思われていないか不安になる
7．不安や緊張のため、日常生活に支障が出ている
「はい」が6個以上の方は社交不安障害の可能性があるため、専門機関の相談をおすすめします。
もし「はい」の数が6個未満であっても、日常生活に不安を感じている場合は専門機関の受診を考えましょう。
当てはまった数を数えてみよう～
ご相談しませんか？
社交不安障害の治し方は？薬・カウンセリング・自分でできる対処法
実際の治療方法や、自分でもできるセルフケアについてお伝えします。
心理治療
社交不安障害の治療によく用いられる心理治療に認知行動療法（CBT）があります。
認知行動療法は偏った考え方のクセを見つけて、現実的な考え方に修正していく治療法です。
社交不安障害の治療では回避行動を減らし、少しずつ苦手な場面にチャレンジしながら慣れていく練習もします。
参照：厚生労働省「社交不安障害（社交不安症）の認知行動療法マニュアル」
薬物治療
症状が現れたときの対処療法として薬物治療を用います。
抗不安薬の投与や、症状をコントロールするためにSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬が使用されます。
心理療法と薬物治療を併用することで、より症状改善の効果が高まります。
セルフケア
・生活習慣の改善
規則正しい生活やバランスの取れた食事、適度な運動を心がけましょう。
カフェインの摂りすぎもよくありません。
・リラクゼーション法
深呼吸により心身をリラックスさせたり、マインドフルネス瞑想によって余計な雑念を払ったりすることも効果的といわれています。
・小さな成功体験を重ねる
小さなことでいいので苦手なことに挑戦して、成功体験を重ねることも大切です。
・日記をつける
自分の思考や不安に感じたことを記録して、自分の思考の傾向を把握する手掛かりにしましょう。
ここあらさんのひとこと
「不安が沢山出てきたときは、心のお休みサインかも？
リラックスできる方法を探してみよう」
今回は社交不安障害についてお伝えしました。現代社会においては多くの方が様々な不安を感じて生きています。
とくに社交不安障害を抱える方たちは、障害の苦しみだけでなく、障害への理解不足によって困難な場面に直面することも少なくありません。自分自身や周囲の人たちが、障害への理解を深めて正しい対処をすることで、今よりも生きやすい人生を歩めるのです。
私たち就労移行支援事業所COCOCARAでは、障害等の事情があって就職・再就職に悩んでいる方に対して、相談や就職準備、アドバイスなどのサポートを行なっています。「障害があるから仕事が見つからない…」などのお悩みを抱えている方は、一度相談に来てみてはいかがでしょうか。
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