仕事を辞めた人にとって、新しい仕事が決まるまでの生活を支える失業手当。
それは障害者雇用されている場合でも変わりません。
しかし失業手当の給付を受けても、働いていた時と比べれば収入は減ってしまいます。
その分を補填するために、アルバイトをしたいと思う方もいるのではないでしょうか。
今回は「失業手当をもらいながらアルバイトやネット副業はできるのか?」といった疑問に答えていきます。
障害者の失業手当(失業保険)について
障害者雇用されていた方が失業手当を受け取る際は、「就職困難者」に分類されます。
「就職困難者」が失業手当を受給する場合は、最低でも150日間の受給が保証されており、他の一般被保険者よりも長く失業手当の受給が可能です。
失業手当(失業保険)
失業手当(失業保険)とは正式には「雇用保険の基本手当」です。
労働者が様々な事情で失業した時に、収入がなく生活面で困難が生じるのを防ぎ、最低限の生活を保障するために支給されます。
退職後、失業手当の支給にはお住いの地域を管轄しているハローワークに離職票(1と2)、個人番号が確認できる書類、身元が確認できる書類、写真2枚、自分名義の通帳またはキャッシュカード、印鑑を持参して申請してください。
失業手当を受けるには「雇用保険に一定期間加入していること」が前提であり、そのうえで現状は失業状態でも「働く意思があり、働くことが出来る」必要があります。
そのため就業の意思がない人や病気、怪我、妊娠・出産などですぐに就労することが難しい方は、失業手当ではなく雇用保険の傷病手当を受給することになります。
またハローワークに申請することによって、最長で退職日の翌日から4年以内まで受給期間の延長も可能なため、直ぐに働けない事情がある方は管轄のハローワークで相談してみましょう。
【失業手当受給のための具体的な条件】
・一定期間雇用保険に加入……離職日以前の2年間に通算12カ月以上加入、ただし特定受給資格者や特定理由離職者の場合は1年間に6カ月以上の加入に短縮。
・働く意思・能力があること……ハローワークで求職を申し込み、転職活動を行っている。
障害者雇用の方は「就職困難者」に分類
失業手当を受給するには自己都合により退職した「一般受給資格者」の他、「特定受給資格者」や「特定理由離職者」「就職困難者」といった分類があります。
「特定受給資格者」は会社の倒産や解雇などの会社都合により失業した方、「特定理由離職者」は契約社員などで労働契約の更新がされない方や病気・妊娠・出産・育児・配偶者の転勤などのやむを得ない理由で離職することになった方です。
障害者雇用されている方は「就職困難者」に分類され、通常よりも長い受給期間や、受給に必要な求職活動実績の回数が少なくて済むなどの優遇措置を受けられています。
就職困難者とは
・身体障害者手帳を持っている
・療育手帳を持っている
・精神障害者保健福祉手帳を持っている(※)
※統合失調症・うつ病・躁うつ病・てんかんの方は、精神障害者保健福祉手帳を持っていなくても、医師の診断書等で就職困難者として申請できる場合もあります。
お住いの地域のハローワークによって対応が異なるため、手続きの前に管轄のハローワークにお問い合わせください。
就職困難者の受給期間
就職困難者の失業手当給付期間は以下の通りです。
1年未満 | 1年以上 5年未満 | 5年以上 10年未満 | 10年以上 20年未満 | 20年以上 | |
45歳未満 | 150日 | 300日 | |||
45歳以上 65歳未満 | 360日 |
参照:厚生労働省HP「基本手当について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135026.html
失業中にアルバイトやネット副業で働ける?
「失業中にアルバイトやネット副業で稼いだら、手当がストップされない?」という質問をよく聞きます。
失業手当の支給を受けるには原則として4週間に1回、管轄のハローワークで失業状態であることを認定される必要があります。
つまり管轄のハローワークが「就職している」と判断すれば、失業手当はストップされるのです。
アルバイトが可能な時間数や日数、ネット副業などに関して、どこからが就職している状況なのかは管轄のハローワークによって判断が異なるため、事前に問い合わせて確認しておくといいでしょう。
基本的にはルールに則った働き方であれば、ハローワークに報告し失業手当を受給しながら働くことができます。
しかし失業手当の申請後には、アルバイトできない期間もあるため注意しましょう。
アルバイトできないのは「待機期間」
失業手当の申請が済んだ後の待期期間中(7日間)は、どのような退職理由であってもアルバイトをすることができません。
失業手当の給付は会社都合の場合、離職票の提出日から7日間の待期期間の後となり、自己都合の退職の場合には7日間の待期期間+2ヶ月間の給付制限期間が過ぎると失業手当を受給できます。
※ハローワークで失業手当の給付手続きを行う前であればアルバイトできます。
待機期間以外はアルバイト可能
7日間の待期期間が終了すれば、給付制限期間や失業手当受給中であってもアルバイトは認められています。
ただし管轄のハローワークに申告しないと不正受給となるため、報告漏れなどがないように注意しましょう。
また働き方によっては「就職している状態」と判断され、失業手当が受給できなくなったり、支給が減額や先送りされたりするケースもあるので、失業保険のルールを理解したうえでアルバイトをする必要があります。
アルバイトが可能な期間で気をつける点をお伝えします。
就職している状態とみなされる働き方
以下の条件を満たすとアルバイトであっても就職している状態とみなされ、雇用保険の加入対象となり失業手当が受給できなくなります。
アルバイトをする際は次のような点に気をつけましょう。
・「週間の所定労働時間が20時間以上」で、「31日以上の雇用がみこまれる」働き方をして雇用保険の加入対象となる場合
・期間が7日以上の雇用契約を結んでいて、「1週間の所定労働時間が20時間以上」かつ「1週間の就労日が4日以上」で継続して就労している場合
減額や先送り、不支給になる働き方に注意
1日に4時間以上働いてしまうと、減額はされませんが働いた日数分の失業手当支給が先送りされます。
この失業手当を先送りした期間が受給期間を越えてしまうと、失業手当の支給が無くなるため注意が必要です。
また「1日4時間未満の労働」に関しても注意が必要です。
1日4時間未満しか働いていなくても、離職前に支払われていた1日分の基本手当額の80%よりも多く稼いでしまうと、失業手当を受給できなくなります。
これは短時間アルバイトだけでなく、「内職または手伝い」といった働き方も同じです。
- 失業手当日額+1日分のアルバイトや内職等による収入(1日分の収入金額-控除額)
- 前職での賃金日額×80%
※①が②よりも少ない、あるいは①と②が同じ金額の場合……全額支給
※①が②よりも多い場合……差額が減額されて支給
※1日分のアルバイトや内職による収入が②よりも多い場合……支給なし
【減額や不支給とならない為の注意点】
・1日に4時間以上の労働(就労)……就労した日の失業手当は先送り。失業手当の受給期間に注意
・1日に4時間未満の労働(短時間アルバイト・内職・手伝い)……収入により失業手当が「全額支給」「減額」「不支給」となる
参照:厚生労働省HP「雇用保険受給者のみなさまへ」 https://jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-hellowork/content/contents/000901308.pdf
参照:厚生労働省HPコラム https://jsite.mhlw.go.jp/hyogo-roudoukyoku/var/rev0/0115/3085/20181121492.pdf
まとめ
今回は障害者雇用されている方が退職して失業手当を受給する際に、アルバイトやネット副業などができるのかについてお伝えしました。
失業手当を受給しながらのアルバイトにはメリットデメリットがありますが、生活の基盤を支え、次の仕事のヒントになることもあるでしょう。
不正受給には厳しいペナルティが科せられますので、ルールを守ったうえで、自分に合ったアルバイトを探してみてはいかがでしょうか。
また求職中は新しいスキルを身に付け、自分に合った職場に転職するチャンスでもあります。
私たちCOCOCARAは、就労移行支援事業所として、障害等の事情があってお仕事に就くことに苦労している方に対して、相談や就職準備、アドバイスなどのサポートを行っています。
「障害があるから仕事が見つからない…」などのお悩みを抱えている方は、一人で悩まずに一度相談に来てみてはいかがでしょうか。
私たちと一緒にご自分に合った働き方について考えてみませんか。
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