2013年の障害者雇用促進法改正を受けて、2018年から精神障害(発達障害を含む)の方たちも障害者雇用の対象者になりました。
対象者が増えたことで法定雇用率の引き上げも決定されましたが、急に雇用率を引き上げては迎い入れる企業側の混乱を招きかねません。
そのため現在は段階的な法定雇用率の引き上げが行われています。
今回は令和6年(2024年)の障害者雇用率の引き上げや、今後の障害者雇用促進法がどうなるのかについてお伝えします。
障害者の法定雇用率とは
法定雇用率制度により、事業主は障害者を「法定雇用率」以上、雇用するよう定められています。
「法定雇用率」とは、一定規模以上の事業主が常時雇用している労働者のうち、一定の割合以上の障害者を雇用することです。
ではなぜ「法定雇用率」が定められているのでしょうか。
理由は障害者雇用促進法の歴史にあります。
障害者雇用促進法の歴史は古く、第二次世界大戦後に戦争で負傷して身体障害となった「傷痍軍人」救済のため、身体障害者雇用促進法が制定されたことから始まります。
法律の制定により、企業は障害者の雇用を担うという社会的責任が明確にされたのです。
その後も身体障害雇用促進法を基盤に、社会情勢の変化に合わせて幾度もの法改正が重ねられてきました。
現在の障害者雇用促進法では、障害者の安定した雇用促進を目的とした「法定雇用率」が定められています。(障害者雇用促進法43条第1項)
令和6年(2024年)4月の改正からは、民間企業の「法定雇用率」は2.5%となり、従業員40人につき1人以上の障害者雇用が義務つけられています。
【各事業主別の障害者法定雇用率】
民間企業:2.5%
国・地方公共団体:2.8%
都道府県等の教育委員会:2.7%
参照:厚生労働省HP
最新!令和6年(2024年)改正後の変更点
これまでも障害者雇用促進法は度々改正されており、それに伴い法定雇用率も段階的に引き上げられてきました。
令和6年(2024年)4月の変更で、どの点が変わったのかをお伝えします。
1.障害者の法定雇用率が2.5%に引き上げ
障害者雇用促進法の一部が、令和6年(2024年)4月から改正されます。
最も影響が大きいとみられる改正点は、障害者の法定雇用率が2.5%に引き上げられたことです。
また雇い入れる事業主の範囲が従業員40人以上の企業になりました。
【法定雇用率の変化】
2023年 | 2024年4月 | 2026年7月 | |
法定雇用率 | 2.3% | 2.5% | 2.7% |
対象事業主の範囲 | 43.5人以上 | 40.0人以上 | 37.5人以上 |
法定雇用率及び対象事業主の範囲は、今回の改正だけでなく今後も段階的に引き上げられる予定です。
2.雇用率算定が変更されて対象となる労働者が拡大
これまでは週20時間未満で働いていた障害者は、障害者雇用の対象外でした。
しかし令和6年(2024年)4月からは、週の労働時間が10時間以上20時間未満の特定短時間労働者(精神障害者、重度身体障害者および重度知的障害者)も0.5カウントとして算定されます。
週所定労働時 | 30時間以上 | 20時間以上30時間未満 | 10時間以上20時間未満 |
身体障害者 | 1 | 0.5 | ― |
身体障害者(重度) | 2 | 1 | 0.5 |
知的障害者 | 1 | 0.5 | ― |
知的障害者(重度) | 2 | 1 | 0.5 |
精神障害者 | 1 | 0.5(1)※ | 0.5 |
※精神障害者の算定特例の延長により、当分の間1カウントとする特例措置有り
3.障害者雇用のための助成金を新設・拡充
企業が障害者を雇用すると、「障害者雇用納付金制度」により助成金が支給されます。
「障害者雇用納付金制度」は、障害者雇用率が未達成の企業(常用労働者100人超)から徴収した納付金を原資としています。
障害者雇用を達成した企業は、障害者が働きやすい職場環境の整備などに未達成の企業よりも経済的負担を負うことから、その負担を軽減するために設立されたのが「障害者雇用納付金制度」です。
令和6年(2024年)度からは、以下の助成金が新設・拡充されました。
・中高年齢等障害者(35歳以上)の雇用継続を図る措置の助成金
・障害者雇用相談援助助成金
・障害者職場実習等支援事業
・健康相談医の委嘱助成金
・職業生活相談支援専門員の配置又は委嘱助成金
・職業能力開発向上支援専門員の配置又は委嘱助成金
・介助者等資質向上措置に係る助成金
・中途障害者等技能習得支援助成金
※助成金の支給に必要な条件は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のホームページで確認できます。
4.障害者雇用調整金・報奨金の支給方法の見直し
すでにお伝えしたとおり、障害者雇用を達成している企業に給付される「調整金」「報奨金」「助成金」は、雇用率未達成の企業から徴収された給付金です。
「調整金」と「報奨金」は雇用している障害者の人数に応じて支給されますが、「助成金」は雇用している障害者数ではなく、企業の障害者雇用への取り組みによって支給の可否が判断されます。
「助成金」はより障害者が働きやすい環境を整えた企業に支給されるため、障害者雇用の質の向上が期待できるのです。
しかし過去の実績では「調整金」が213億円、「報奨金」が53億円のところ、「助成金」はわずか4億円と偏りが指摘されています。
そのため今回の改正では「調整金」と「報奨金」については一定数を超えた場合には減額し、その分を助成金に回すことになったのです。
参照:厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」
参照:厚生労働省「障害者雇用納付金関係助成金の主な変更点について」
参照:厚生労働省「障害者雇用調整金・報奨金の支給調整について」
今後の障害者雇用
障害者雇用が進まないことで幾つものデメリットが生じるうえに、今後も障害者雇用促進法は拡大されていきます。
企業は現状を把握して雇用計画を立てていくことが求められるのです。
障害者雇用が進まない企業のデメリット
企業は毎年6月1日に、所轄のハローワークに障害者の雇用状況を報告する義務があります。(ロクイチ報告)
ロクイチ報告で障害者雇用が未達成の企業には、不足人数1人につき月額50,000円の障害者雇用納付金の徴収と、ハローワークから「障害者雇入れ計画作成命令」が発出される場合があります。
「障害者雇入れ計画作成命令」が発出された企業は、2年間の障害者雇入れ計画を作成しなければなりません。
もちろん作成した計画を実行できなければ、障害者雇入れ計画の適正実施勧告が出されます。
障害者雇用が進まない場合は、労働局と厚生労働省による9カ月間の特別指導が入り、それでも改善が見られない企業は、厚生労働省のホームページで企業名が掲載されるのです。
障害者雇用が進んでいない企業として社名が公表されることで、企業イメージが損なわれてしまいます。
【障害者雇入れ計画の作成発出基準】
・実雇用率が全国平均実雇用率未満であり、かつ不足数が5人以上の場合
・実雇用率に関係なく、不足数10人以上の場合
・雇用義務数が3~4人の企業であって雇用障害者数0人
今後の障害者雇用促進法の改正点
令和7年度(2026年)には障害者除外率の引き下げが行われます。
除外率制度とは、一般的に障害者の就労が困難と認められる業種について適用される制度です。
雇用労働者数を算出するにあたって、除外率に相当する労働者数が差し引かれるため、その分障害者の雇用義務が減少します。
この除外率が10ポイント引き下げられる予定です。
ただし除外率制度は廃止が決定されており、経過措置として業種ごとに設定されている除外率も段階的に引き下げ・縮小されていきます。
また令和8年度(2027年)には障害者雇用率が現在の2.5%から2.7%に引き上げられ、加えて障害者雇用を義務付けられる事業主の対象範囲も40.0人以上から37.5人以上へと拡大されます。
こうした傾向は今後も続いていくことが予想されており、企業は中長期的な障害者の雇用計画を立て、有益な人材の採用や育成が必要となるでしょう。
企業が取るべき対策
継続的な障害者就労を目指すなら、支援機関と協力して障害者雇用を進めるのも有効な方法です。
就労希望の障害者は支援機関のサポートを受けていることも多く、これらの支援機関は障害者雇用のサポートも行っています。
また就職活動だけではなく就労後の就労定着支援も行い、企業と障害者のコミュニケーションが円滑に進むようサポートしてくれる支援機関もあります。
【主な支援機関】
・ハローワーク
・地域障害者職業センター
・障害者者就業・生活支援センター
・就労移行支援事業所
まとめ
今回は令和6年(2024年)度、障害者雇用率の引き上げやこれから障害者雇用促進法がどうなっていくのかについてお伝えしました。
これからも改正が行われ、更なる障害者雇用の促進が予想されます。
継続的な障害者雇用には、障害者をサポートする機関との連携は欠かせません。
私たちCOCOCARAは、就労移行支援事業所として、障害等の事情があってお仕事に就くことに苦労している方に対して、相談や就職準備、アドバイスなどのサポートを行っています。
求められるビジネススキルを身に付けることで、障害を持っていたとしても企業にとって大切な戦力となる人材となるでしょう。
「障害があるから仕事が見つからない…」などのお悩みを抱えている方は、一人で悩まずに一度相談に来てみてはいかがでしょうか。
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